「2014年9月」の記事一覧

和紙で便りを

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皆の衆、一気に涼しくなってきたのう。
昨年は、ようやく夏が終わったと思ったらすぐに冬が来て、秋は短かった。
今年は、今、まさに秋!
なんだか旅に出たくなるのう。

kokudasuda.jpg ←須田剋太展ちらし

今日は、再び卯立の工芸館で開催中の「須田剋太展」の話題じゃ。
コレクションを公開いただいたN氏は、とてもとても協力的で、
次々と素晴らしい資料を持ってきて下さる。
昨日、「須田はんからのはがきが出てきた」といって来館された。

kokuta_l_1.jpg ←力強く味のある文字

須田がN氏を初めて訪れるときに書かれたものじゃ。
右のはがきは、

「五月中に行こうと思っていましたが、風邪を引いたりして、
とにかく六月の月になり次第行きます。」

と、早くN氏に会いたいという想いが伝わってくる。
左のはがきもしかり。

「後時間も余りないので、一度トニカク貴家を訪問します。
(中略)では六月二日か三日 ― とにかく電報朝打ちます。」

実際にN氏を訪れたのは、6月4日。
ちゃんと電報を打って訪れた。
几帳面な男だったとN氏は笑う。

kokuta_l_2.jpg ←官製はがきに歴史を感じる

宛名面をみると、5円と200円の2種類のはがきであることが分かる。
200円の方は速達らしい。
書かれたのは、N氏訪問4日前。
ちなみに、5円の方は訪問10日ほど前。
一週間に2枚も手紙を送っておる。
本当に几帳面な男だったようじゃ。

最近では、eメールがほとんどで、はがきや手紙を書くことは少なくなった。
しかし、文字は人なりとも言うように、手書きの便りは送付者の気持ちがこもる。
なにより、物体として手に触れられるのが大きい。
そしてそれは紙だ。
紙は、文字とともに人の想いを運ぶ。
秋の夜長、久しぶりに手紙を書いてみるのはどうじゃ?
紙はもちろん、越前和紙。
ただし、千年後に読まれる可能性があることもお忘れなく。


剋太が愛した越前和紙

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皆の衆、あっという間に9月も半ばじゃのう。
今日は三連休の最終日。
ゆっくり過ごすも良し、どこかに出かけるも良し。
秋の涼しさは、何をしても楽しく感じさせる。

今日は、現在、卯立の工芸館で開催中の展覧会の話題じゃ。
「須田剋太展-N氏コレクションより-」が、今月6日から始まっている。

kokudasuda.jpg←メインビジュアルは「文楽 お初」

秋と言えば旅の季節。
司馬遼太郎の紀行文「街道をゆく」をバイブルに、旅をするものも多いだろう。
須田剋太は、その「街道をゆく」の挿絵作家だった。
そして、越前和紙を愛した人でもあった。

kokuta_1.jpg
↑奥の作品は、須田に越前和紙を紹介した画家・泉茂の作品

kokuta_2.jpg
↑越前和紙の工房を見学する須田剋太の写真が残る

kokuta_3.jpg
↑油絵用の越前和紙を使った、須田剋太の抽象画

須田が特に愛用したのは、N氏の紙。
N氏は紙の開発に情熱を注ぐ職人であるとともに、
多くの作家や画家とも交流をもつ文化人でもある。
紙の開発には、それら画家たちの助言もあった。

kokuta_4.jpg
↑画家・猪熊弦一郎が装幀した詩集にはN氏の紙が使われている

kokuta_5.jpg
↑須田剋太からの紙に対するリクエストが書かれたN氏の紙

猪熊弦一郎からの手紙には、N氏の紙開発への情熱が、
厳しくも温かく綴られている。
初期の頃の紙について、

「彼の努力は賞したが、紙はけっしてほめなかったし
むしろ冷たい批判ばかり上げたように思う。」

と記す一方、その10年後に再び見た紙については、

「紙はいよいよ本格に美しく、外国の紙をたくさん見てきた私に
これは、と心からの賞賛をおしまない程のものになっていた。
(中略)私は、良質の子供を見た時の様に本当にうれしかった。」

と記されている。
両者の信頼関係もうかがえる、とても良い手紙じゃ。

kokuta_6.jpg

↑左から2番目は脇田和|鳥が紙をくわえて「紙が取り持つ仲」だそう

他にも、N氏が親交を深めた画家や作家の色紙が並び、
N氏の文化度の高さを証明している。
紙は文化の入口なんじゃ。

この展覧会は、文化の日は11月3日(月・祝)まで。
紙が支える文化に触れる旅に出かけてみないか?
待っておるぞ。


管理人:わしだるま
和紙の里の自然や人々が
大好きな越前和紙の精。
和紙の里に生息し、
いろんな所に出没中。

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