江戸時代中期の紙漉き家屋を移築復元した「卯立の工芸館」では、伝統工芸士が昔ながらの道具を使って和紙を漉く様子や、屋外での和紙天日干しなど、和紙が作られる一連の工程を見ることができる、全国でも唯一の場所となっています。
1階は伝統工芸士の作業場と、様々なクラフトスペースにもなる土間・いろりのある和室があり、2階では和紙にまつわる様々な企画展が随時行われています。
卯立の工芸館は、越前市定友町で紙漉きを生業としていた「妻入り卯立」を持つ西野平右衛門家を平成8年〜9年に移築・改修したもので、創建は江戸中期寛延元年(1748)と伝えられています。
当館は、和紙の里・五箇地区にいまなお点在する民家に見られる妻入り卯立の家であって、軒を連ねた町家の両軸に(うだつ)を上げて隣家と境している平入り卯立に対して、民家の基本的な形式が妻入りであるこの地の独自の形式として、玄関正面に卯立を立ち上げた「妻入り卯立」の典型を見ることができます。
正に「うだつを上げた」という言葉そのものを感じ取ることのできる風格ある建築様式であり、紙漉き家の誇りと心意気を示すものといえます。
この館の大きな特徴は、古式にのっとった越前和紙の紙漉き道具を復元し、工程にしたがって配置したことです。
そして伝統工芸士をはじめとする紙匠たちにより、原料作りをはじめとして、紙漉きから乾燥までのすべての手漉き和紙抄造の流れが一目でわかるようになっています。
昔ながらの紙漉き工程すべてを一つの工房内で見られるのは、全国でもここしかありません。
越前和紙の歴史・伝統とともに生き続けてきた風格ある卯立の紙漉き家屋で、磨きぬかれた紙匠の技に接して、ほんとうの生成りの和紙の風合いをからだごと感じ取ってください。
そして、紙の文化博物館・パピルス館とともに、越前和紙の伝統を尋ね、さらに新しい歴史を拓くため、紙匠の技術研鑽、後継者の育成の場となるとともに、多くの方々に日本文化の源流となる和紙の心を理解していただける場になれば幸いです。
卯立の工芸館では、昔ながらの道具・原料を用い、伝統工芸士の指導のもとでチャレンジする本格的な「流し漉き」体験講座を行っています。
個人のお客様・団体のお客様とも受け入れ可能です。(要予約)
どうぞ卯立の工芸館までお問い合わせ下さい。
常設展 | 特別展開催時 | |
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大人 | 200円(団体の場合 150円) | 300円(団体の場合 200円) |
障害者手帳等をお持ちの方は通常の半額 | ||
高校生以下 | 無料 | 無料 |
※15名以上は団体割引になります(要予約)。
※紙の文化博物館との共通入館料です。(両方に入館できます)
越前和紙の里 〒915-0232 福井県越前市新在家町8-44 パピルス館内
tel:0778-42-1363 fax:0778-42-2425