紙漉き家屋「妻入り卯立」

卯立の工芸館は、越前市定友町で紙漉きを生業としていた「妻入り卯立」を持つ西野平右衛門家を平成9年に移築・改修したもので、創建は江戸中期寛延元年(1748)と伝えられています。

当館は、和紙の里・五箇地区にいまなお点在する民家に見られる妻入り卯立の家であって、軒を連ねた町家の両軸にうだつ(うだつ)を上げて隣家と境している平入り卯立に対して、民家の基本的な形式が妻入りであるこの地の独自の形式として、玄関正面に卯立を立ち上げた「妻入り卯立」の典型を見ることができます。

正に「うだつを上げた」という言葉そのものを感じ取ることのできる風格ある建築様式であり、紙漉き家の誇りと心意気を示すものといえます。

紙漉き道具と紙漉き場の復元

この館の大きな特徴は、古式にのっとった越前和紙の紙漉き道具を復元し、 工程にしたがって配置したことです。 そして伝統工芸士をはじめとする紙匠たちにより、原料作りをはじめとして、 紙漉きから乾燥までのすべての手漉き和紙抄造の流れが 一目でわかるようになっています。

紙漉き工程の流れ

1白皮を煮る窯場

2塵選り[ちりより]

3煮皮を叩解[こうかい]する

4紙漉き[かみすき]

5漉いた紙を絞る天秤式圧搾機

6らせん式圧搾機

7紙張り[張り板はいちょう]

8室内乾燥

9天日乾し乾燥

昔ながらの紙漉き工程を再現。

昔ながらの紙漉き工程すべてを一つの工房内で見られるのは、全国でもここしかありません。 越前和紙の歴史・伝統とともに生き続けてきた風格ある卯立の紙漉き家屋で、磨きぬかれた紙匠の技に接して、 ほんとうの生成りの和紙の風合いをからだごと感じ取ってください。

そして、紙の文化博物館・パピルス館とともに、越前和紙の伝統を尋ね、さらに新しい歴史を拓くため、 紙匠の技術研鑽、後継者の育成の場となるとともに、 多くの方々に日本文化の源流となる和紙の心を理解していただける場になれば幸いです。

伝統的な流し漉きを体験する、 紙漉き本格体験講座も行っています。

卯立の工芸館では、昔ながらの道具・原料を用い、伝統工芸士の指導のもとでチャレンジする本格的な「流し漉き」体験講座を行っています。

江戸時代中期に建てられた紙漉き家屋で、昔ながらの道具・原料を用い、伝統工芸士の指導のもとでチャレンジする本格的な「流し漉き」体験です。

参加費 一人様 5,500円(送料別途*)
*仕上がり(乾燥)は翌日以降になります。
場所 越前和紙の里 卯立の工芸館
内容 流し漉き[菊判 66cm×97cm]2枚程度、又は[柾判 44cm×55cm]4枚程度
*越前和紙伝統工芸士の指導で、練習の後、実践となります。
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5名以上の場合は、2週間前までに要予約。
和紙の郵送は代表者に一括送付させて頂きます。

※入館者多数の場合、もしくは時間帯など、当館の事情によってはお受けできないこともありますのでご了承下さい。

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