伝統工芸士について

伝統技術を受け継いだ工芸士に漉かれた和紙は、多くの画家に愛用されています。

現代の名工によって漉かれた越前和紙は、横山大観や平山郁夫、ピカソといった日本画や木版画の作家に愛用されています。
その強靭な和紙は「素材」として力を発揮し、書や絵画の、そこに書かれた作品を引き立たせています。

歴代の無形文化財保持者(国・県)

九代 岩野 市兵衛(人間国宝)

重要無形文化財 平成12年指定
代表和紙:越前生漉奉書

人間国宝であった先代岩野市兵衛氏より手漉き和紙古来の技法を受け継ぎ、木材パルプなどを使用しない100%楮だけを使用した生漉き奉書一筋に専念してきた。
1978年に九代目岩野市兵衛を襲名。2000年6月に、国指定重要無形文化財(人間国宝)に認定される。
精選された国内産の楮を原料とし、越前和紙に伝わる古来の技法にしたがい作られた強靭な和紙は、版画紙として多くの美術作家に提供されている。
主な作品「越前和紙で魅せるエバレット・ブラウンの世界展」

三代 岩野 平三郎(故人)

県無形文化財 昭和50年指定
代表和紙工芸:打雲 飛雲 水玉

初代岩野平三郎の技法を受け継ぎ、雲肌麻紙などの画紙抄造につとめ、現代日本画の作家たちとの交流を深めている。
越前和紙古来の紙漉き模様「打雲・飛雲・水玉」の技法を継承し、県無形文化財に指定される。
「打雲」は地紙を漉いて、水が切れた頃、藍と紫の紙料を上下に雲のように漉き込む。「飛雲」も同様にして、ちぎれた雲のように漉き込む。「水玉」は地紙の上に水を含ませたわら束で水滴を落して作る技法である。

五代 山崎吉左衛門(故人)

県無形文化財 昭和54年指定
代表和紙工芸:檀紙

現在伝わる檀紙は、厚手で白く、縮緬(チリメン)のような皺のある和紙である。
もともと檀(マユミ)の繊維でつくられ、古いものには皺がないと言われているが、後世には楮を原料として現在のように漉かれるようになった。室町時代初期には讃岐が主産地で、江戸時代に入ると越前においても盛んに漉かれるようになった。
正保2年(1654)の上皺大高檀紙が現存する最古の越前檀紙である。
檀紙は、その大きさにより、大高、中高、小高(大鷹、中鷹、小鷹とも記す)の種類があり、皺のつけ方で並皺、上皺の別がある。

福田 忠雄

県無形文化財 平成12年指定
代表和紙工芸:墨流し

無地の紙に模様をつける技法の一つで、平安時代から伝えられている。
一子相伝、門外不出の技法として、特定の家に限りという形で継承されてきた。
墨流しは、水をはった水槽に墨、紅、藍などの染料と松脂を含んだ筆を水面に交互におとし、模様をつくる。これを和紙に吸い取らせる技法。
氏は地域的特有を有し、工芸史的に価値の高い墨流しの伝統的技術の保持者である。

越前和紙の歴代の紙匠たち一覧

越前和紙の歴代の紙匠たち

日本画紙の創始者 初代 岩野平三郎(故人)
紙漉きの神様といわれた日本画紙の創始者
国無形文化財
(人間国宝)
八代 岩野市兵衛(故人)
九代 岩野市兵衛
県無形文化財 三代 岩野平三郎(故人)
五代 山崎吉左衛門(故人)
福田 忠雄