繊細な草花のガリ版作品
ガリ版は印刷技法のひとつ。ロウをひいた雁皮紙(原紙)をヤスリ板の上に置き、鉄筆で絵を描き、細かい穴を空けます。木枠に張った原紙にインクを塗り、下に紙を置いて、上からローラーで押さえると細かい孔が空いた部分にだけインクが通過し、印刷することができます。
原紙とインクさえあれば、電気がなくても印刷ができるガリ版。1800年代後半から1970年代までは教育や政治、社会運動、文芸、芸術活動などにおいて、情報伝達や表現の手段として使われ、人々にとって身近な存在でした。
助田篤郎氏は助田茂蔵家の次男として生まれ、茂蔵氏から大阪謄写館を引き継ぐと同時に、茂蔵氏の描く野の花の絵を多色刷りガリ版作品にしました。長期保存ができない原紙を使い、多色刷りでの表現が難しい中、一つの色を表現するために最大22版の原紙をつくり、いくつもの色を刷り重ね、微妙な色彩の違いを表現しました。
本展覧会では、特に初期の頃の作品「さいはての花シリーズ」や「野の花シリーズ」を中心に展示いたします。
今も多くの人に愛されている、助田篤郎氏のガリ版作品約60点をぜひともご覧ください。
◼️助田篤郎(すけだあつお)
1945 助田茂蔵家の次男として生まれる
1974 インドへ放浪の旅に出る
1975 帰国後、兄憲亮の工房にてシルクスクリーンを習得
1980 父茂蔵を手伝いながら共に「野の花孔版画」を完成
2012 福井市・鯖江市で特別展開催
2022 逝去(享年68才)